あったかい家づくり
いまどきの北国の住宅は新築だとみんなあったかい家になると思っていませんか。そうでもないんですよ。アトリエ105では時々他の設計事務所のお手伝いをすることがあります(住宅ではないですが)そうすると判るんです。ああこの設計者は断熱のことは二の次だなと。おなじことは工務店やハウスメーカーだって言えます。
もちろん予算のことやデザインや使い勝手は大切です。でも断熱や気密も同列に大切とアトリエ105では思っています。二の次ではないのです。建ててからそのことに気づいても、もう遅いのです。
アトリエ105では開業以来ずっと断熱にこだわって家を設計してきました。こだわっているのは断熱だけではなくデザインも使い勝手も耐震性もですが、なにが一番喜ばれるかって、もうその暖かさです。
あたたかい家で暮らしたら人間弱くなる!という人がいます。確かに少しそうかもしれません。否定はしません。でも、寒さに対して体を鍛えたかったら外で裸でランニングでもするなり、窓を開けるなりすればいいだけのことです。もともと暖かく出来ない家だったら、灯油や電気を大量に使って暖房をガンガンつけなければなりません。それでも部屋を一歩出ると寒かったりします。
なぜ断熱気密が大切か
おおきく次の3点が挙げられると思います
一つには地球環境のことが挙げられます。温暖化です。灯油や電気をガンガン使うということは温暖化への一番の敵であるCO2を大量に吐き出し続けることになります。断熱気密をしっかりして少ないエネルギーで暮らせるようにすべきです。
次に家の寿命です。これまで日本の住宅は30年程度のサイクルで建て替えられてきていますが、経済的や人口減少に伴い、そのサイクルはもっと長くなるでしょう。つまり今建てた住宅が60年後以上もあるのも珍しくない時代が来ると思います。その間柱や土台が腐らず保つためには、壁内部で結露を起こさないようにしなければなりません。断熱や気密をしっかり確保することにより、結露を防ぎ寿命を延ばすことになります。また、長く持つ家は将来の資産価値も上がることにもなります。
そして人の健康です。寒冷地では冬にヒートショックで亡くなる高齢者が多いです。ヒートショックは暖かい部屋から寒い脱衣場に行って熱いお風呂に入るような急激な温度変化により血圧の急変動でおこる症状で、命の危険もあります。そうならないためにも断熱気密をしっかりして家全体が暖かい必要があるのです。
アトリエ105が考えるあたたかい家とは
写真は「燃費半分で暮らす家」という雑誌です。新住協という団体が2015年3月出しました。新住協は住宅の断熱や気密について研究し実践している民間団体です。全国の工務店や設計事務所、大学などが参加しています。アトリエ105も会員として参加し、すでに20年ほど(2015で)になります。
この燃費半分というのは住宅で使用する暖房費や冷房費のことを言います。それを国が定める省エネ基準の住宅を建てた場合の半分の燃料費で済む家を「燃費半分で暮らす家」として紹介している雑誌です。新住協的にはQ1(キューワン)住宅といいます。しかも家中全部を温めたり(全館暖房)、涼しくしたりしての話です。それが可能な時代になったのです。
国の省エネ基準では大館あたりでQ値1.9W/m2KぐらいですがQ値1.9W/m2Kで全館暖房なんか行うと途方もなく暖房費が掛かってしまいます。その半分の灯油代で全館暖房出来る住宅がQ1住宅といいます。
燃費半分で出来るかどうかは設計の段階で新住協で開発した「QPEX」というExcelを使ったソフトを使って、「Q値」を求め確認します。
大館市あたりだとQ値が0.9W/m2K以下ぐらいでないと半分になりませんがそのためには壁の断熱を高性能グラスウール16Kgで210mm、屋根又は天井が高性能グラスウール16Kgで315mm、基礎断熱が発砲系で両面に60mmと土間コンクリート下全面も60mm、開口部は樹脂でサッシでガラスはガス入りLow−Eトリプルガラスで換気を熱交換型にする必要があります。
※国の省エネ基準は2013年にQ値(熱損失係数)からUA値(外皮の熱性能基準)に変りましたが、UA値には換気での熱損失が入っていないため正確性に欠けるためQ値での記載のままとしています。